デザインってこんな風に作られてます
AVII IMAGEWORKSのてっぺーです!
僕はモーショングラフィックスを担当しています。
モーションデザイナーの僕が今回はデザインって、こんなプロセスで作られているというのを体系的に説明していきますので、よかったら最後まで見てください!
●広告におけるグラフィックデザインの役割
まずは広告そのものの役割について考えてみます。
日常生活の中でもよく目にする新聞紙の紙面や電車の中吊りポスターを見ても、
広告が「情報を伝えるものである」ということは理解しやすいかと思います。
ただ、情報を盛り込んだはいいものの、誰かに見てもらわなければ
意味がありませんよね。さらにいうと、見た人がその広告の商品やサービスに対して
「これ良いね!」とならなければ、これまた意味がないのです。
つまり広告は「人の関心を引く」必要があるのです。
見る人に「いかに伝わるか」「いかに関心を引くか」という課題は
グラフィックデザインが解決すべき課題に直結します。
なぜなら、広告主とエンドユーザーとのコミュニケーションの接点となるのは、
ほとんどの場合、結局はビジュアルに依存するからです。
【情報を伝える】【人の関心を引く】この両者のどちらに比重を傾けるかは、
ブランドの戦略やその広告の目的によっても変わってきます。
今回の記事では、「情報を伝える」という点から掘り下げ、
「人の関心を引く」という点は、また別の記事として書くことにします。
●広告が伝えるべき情報の分解
次に、広告が伝えるべき情報とは何かを分解して考えていきたいと思います。
新聞紙の紙面や電車の中吊りポスターを思い出してみてください。
人気の俳優、サービスの特長、キャッチコピーなど多くの情報が盛り込まれていますね。
これらの情報は【機能】と【世界観】というくくりにわけて考えることができます。
【機能】は価格や商品名など、事実として伝えるべき情報です。
これは誰もが想像しやすいところではないでしょうか。
・商品やサービスの名称
・価格
・イベントなら日時、時間、場所
・ブランド/メーカー(ロゴなど)
・製品などの外観
・特長 etc..
こういったものが挙げられます。
【世界観】は少し抽象的でわかりづらいかもしれませんが、
広告にとってとても重要なものであると私は考えています。
ここでいう【世界観】とは、その商品やブランドが、ユーザーに
どう受け入れられるか、というものです。
たとえばAppleの製品なら、「洗練されている・おしゃれ・先進的」
といったイメージがあるかと思います。
多くの人がAppleに抱いているそんなイメージこそが、
Appleが打ち出す【世界観】というわけです。
・ブランド/商品イメージ(高級感、可愛い、近未来的 etc..)
・食品ならシズル感(美味しそう、甘そう、辛そう etc..)
・メッセージ etc..
ロゴ、商品名、製品の外観などは上記の【機能】に含めましたが、
実際にはこれらも【世界観】を感じてもらう設計がなされているべきです。
広告の領域に留まらず、できることならば、人が目にする部分は
すべて一貫した【世界観】を打ち出すことで、
より強固なブランディングへと繋がるでしょう。
こういった【機能】と【世界観】という情報を、
見る人に受け取ってもらうために広告のビジュアルを設計します。
●情報の整理
よーし、では早速情報を盛り込むぞー!と意気込んでデザインした結果がこちら。
※架空の商品です
情報をとりあえず詰め込んだだけでは、ごちゃごちゃとした印象に
なってくるのが分かりますね。そうならないために、必ず「情報の整理」を行います。
この広告を見た人に受け取ってほしい情報の、優先順位を決めます。
優先順位を決める中で、この広告によって伝えたいことを明確にする必要があります。
今回の例の場合だと、ドライヤーがユーザーにとってどんなメリットがあるのかが分かりづらいです。
なので、大風量であることと、マイナスイオンが出ることから、「速乾、うるおい髪へ」
というキャッチコピーを打ち出すこととしました。
重量、消費電力、マイナスイオン、風量の情報は、並列の情報としてまとめます。
価格については、ターゲットや掲載される場から、不要な情報であると判断しました。
このように、情報を取捨選択したり、優先順位をつけることで整理をします。
この優先順位に従って、文字の大きさや配置を組み直してみます。
●【世界観】の構築
次に、世界観を構築していきます。
このドライヤーの打ち出すべき世界観は
・髪をはやく乾かせる
・マイナスイオンで美容にも効果がある
・ピンクのボディーのかわいい雰囲気
といったところでしょうか。
この世界観を反映するとこのような具合になります。
いい感じに可愛くなった、というのはなんとなく理解できるかと思いますが、
さらにもう一歩詳しく、なぜこのようなデザインになったのかを以下の画像で解説します。
基本的にはこのような思考法でデザインを設計しています。
この例では、機能や世界観といった情報を
ビジュアルに落とし込む過程を解説してきましたが、
グラフィックデザインには、情報を伝えるという役割のほかに
【人の関心を引く】役割があると冒頭で書きましたね。
整ったレイアウトの中でうまく世界観を表現できていれば、
それだけである程度は人に見てもらえるビジュアルとなります。
しかし、もっと強い力で人の関心を引きたい場合、
アイデアや画自体の強さに注力する必要があります。
次回の記事では【人の関心を引く】デザインについて書きたいと思います。
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