自治体PR動画の作り方と成功事例｜制作のポイントから予算活用方法まで徹底解説

スマートフォンの普及により、多くの人々が日常的に動画を視聴する時代となった今だからこそ、地域の魅力を効果的に発信するツールとして動画が活用されています。

四季折々の風景や伝統文化、地域に根付く人々の暮らしぶりなど、文字や写真だけでは伝えきれない地域の魅力を、音と映像で鮮やかに表現できるのが動画の強みです。

本記事では、自治体PR動画の制作における成功のポイントから、予算の効果的な活用まで、実践的なノウハウを詳しく解説していきます。

この記事の著者・監修者

新井陸王
（株式会社AVII IMAGEWORKS 代表取締役）

未経験で制作会社を立ち上げ、全て我流と経験、改善で積み上げてきました。古き良きものは取り入れ、これから崩していかなければいけないものは崩し、とにかく経験を積み上げてきました。全てはお客様が想定している期待値を超え、頼りにしてくれるために。
「中途半端な知識のない制作は行わない」「型にはとらわれずにお客様の満足、結果の手助けとなる」制作い結果に繋げます。 「他と違うAVIIにしか行えない制作、結果を提供する」 ために、AVIIで受けた制作案件は基本的に全案件監修いたします。

自治体のPRに動画を活用するメリット

自治体のPRに動画を活用するメリットは、以下の通りです。

• 多くの情報を伝えられる
• 拡散力が高い
• コストパフォーマンスが良い
• 観光客・移住希望者への訴求に効果がある

それぞれ詳しく解説します。

多くの情報を伝えられる

写真や文字だけでは表現しきれない地域の魅力を、動画ならたったの1分程度で印象的に伝えることができます。

四季折々の風景を時系列で紹介すれば、地域の魅力が鮮やかによみがえるでしょう。

• 祭りの躍動感
• 伝統工芸の繊細な技
• 特産品の製造工程

上記のような魅力を映像と音声で伝えることで、地域の空気感をイメージさせやすくなります。

拡散力が高い

1本の動画をSNSで公開すると、魅力的な内容は視聴者によって自発的にシェアされていきます。地域の祭りや絶景スポットを印象的に映し出した動画は、視聴者の心を捉え、口コミで広がっていくでしょう。

また、YouTubeなどの動画プラットフォームを活用すれば、時間や場所を問わず世界中の人々が視聴可能です。

特に若い世代は動画による情報収集に慣れており、従来の広報手段では届かなかった層へのアプローチも可能となります。

インパクトのある動画を届けることで、視聴者の記憶に鮮明に残り、地域のファンを増やすきっかけとなるはずです。

コストパフォーマンスが良い

動画制作への投資は、長期的な視点で見ると費用対効果の高いPR施策だといえます。

制作した映像は観光案内所でのループ再生、移住相談会での上映、公式Webサイトでの掲載など、様々な場面で活用可能です。

撮影時に素材を豊富に確保しておけば、新たな動画の制作や他の広報媒体でも二次利用できるでしょう。

観光客・移住希望者への訴求に効果がある

自治体PRに動画を活用することで、観光地や居住環境の魅力を視覚的に伝えることができます。

地域の四季折々の表情や、実際の住民の生活シーンを映像で紹介することで、観光客や移住検討者の心に強く響くでしょう。

また、動画による情報発信は、地域の雰囲気やライフスタイルを臨場感たっぷりに伝えられます。

実際に、動画でPRを行った自治体では、観光客の増加や移住相談件数の上昇といった具体的な成果が表れています。

自治体PR動画の成功例から学ぶ！実際の取り組み4選

ここでは、動画PRの具体的な活用方法について詳しく解説していきます。

• 地域のダンス動画
• ドローンを活用した絶景映像
• 移住促進ストーリー動画
• 地元ならではのキャラクターの活用

地域のダンス動画

自治体のPR動画は、地域の魅力を効果的に伝える手段として注目されています。

動画を通じて、地域の風景や文化、特産品などを臨場感たっぷりに紹介することで、視聴者はその土地に対する興味や関心を深めやすくなるでしょう。

たとえば、埼玉県久喜市が制作した「1000人クッキーダンス」は、市民3,058人が参加し、市の歌に合わせてダンスを披露する内容で、大きな話題を呼びました。

地域の一体感や活気を視覚的に伝えることで、観光客や移住希望者に対して強い魅力を伝えられます。

参照：3058人がダンス！平成28年度久喜市PRビデオ「1000人クッキーダンス」

ドローンを活用した絶景映像

ドローンを用いた絶景映像も、地域の魅力を効果的に伝える手段として注目されています。

ドローンを活用することで、地上からでは捉えきれない壮大な風景や独特の地形を上空から撮影でき、視聴者に新鮮な情報を提供可能です。

たとえば、愛知県豊田市のPR動画「こんな豊田市知らなかった」では、ドローンを用いて町全体の風景を捉え、視聴者に自然や歴史といった隠れた魅力を感じさせています。

参照：【フルバージョン（3分）】豊田市ＰＲ動画「こんな豊田市、知らなかった。～The other side of Toyota City～」

移住促進ストーリー動画

移住促進を目的としたストーリー性のある動画は、視聴者の共感を呼び、地域への関心を高める効果があります。

歌山県和歌山市の「おかえりなさい」という動画では、地元を離れていた男性が恋人と共に和歌山市を訪れ、地域の魅力を再発見する様子が描かれています。

参照：和歌山市PR動画「おかえりなさい」

地元ならではのキャラクターの活用

地元のキャラクター、いわゆる「ゆるキャラ」は、その地域の特産品や文化、歴史を象徴する存在として、多くの人々に愛されています。

これらのキャラクターをPR動画に登場させることで、視聴者は地域に対して親近感を抱きやすくなるでしょう。

たとえば、熊本県の「くまモン」や滋賀県彦根市の「ひこにゃん」は、地域のPR活動において大きな成功を収めています。

参照：「くまモンもん」(MV) ※英語歌詞字幕付き “Kumamonmon” with English superimpose

制作の流れと押さえておきたいポイント

視聴者の心に響く自治体PR動画を作るには、企画段階から配信後まで、各工程で重要なポイントがあります。

ここでは、地域の魅力を効果的に伝えるため、制作フローの重要なステップを順を追って解説します。

• コンセプトとターゲットを明確にする
• ストーリー構成を考える
• 撮影・編集で質を高める
• 音楽やナレーションを入念に決める
• SNSとの連携を意識してコンテンツを作成する

 

コンセプトとターゲットを明確にする

自治体のPR動画制作では、まず「誰に何を伝えたいのか」という明確な目標設定が必要です。

PR動画を視聴する対象者の年齢層、興味関心、生活習慣などを具体的に想定することで、効果的な訴求が可能になります。

制作前のプランニング段階では、以下の3つの視点で検討を行います。

検討項目	具体的な内容
地域の強み分析	・自然環境や観光資源の特徴 ・子育て支援や教育環境の充実度 ・地域特有の文化や伝統行事
ターゲット層の特定	・年齢 ・性別 ・居住地域 ・ライフスタイルや価値観 ・情報収集の手段や方法
訴求ポイントの設定	・地域住民の生の声の活用 ・具体的な数値やデータの提示 ・ビジュアルで魅せる要素の選定

 

これらの要素を明確に定義することで、視聴者の心に響く説得力のある動画コンテンツを制作できます。

地域の魅力を効果的に伝えるためには、表面的な情報発信にとどまらず、視聴者が共感できるストーリー性のある内容作りが重要でしょう。

ストーリー構成を考える

自治体PR動画のストーリー構成は、視聴者の興味を引き、最後まで見てもらうための重要な要素です。視聴時間や配信プラットフォームに合わせて、最適な構成を設計する必要があります。

検討項目	具体的な内容
地域の強み分析	・自然環境や観光資源の特徴 ・子育て支援や教育環境の充実度 ・地域特有の文化や伝統行事
ターゲット層の特定	・年齢 ・性別 ・居住地域 ・ライフスタイルや価値観 ・情報収集の手段や方法
訴求ポイントの設定	・地域住民の生の声の活用 ・具体的な数値やデータの提示 ・ビジュアルで魅せる要素の選定

 

効果的なストーリー展開には、地域ならではの特色を活かしつつ、視聴者の感情に訴える要素を織り込むことが大切です。

データや事実の羅列だけでなく、人々の笑顔や地域の息づかいが伝わる映像を効果的に組み合わせることで、より印象的な内容を実現できます。

撮影・編集で質を高める

自治体PR動画の質を高めるには、撮影技術と編集技術の両面で専門的なアプローチが必要です。

以下のポイントを意識することで、品質の高い動画を制作できるでしょう。

制作段階	品質向上のポイント
撮影時	・季節や時間帯を考慮したロケーション選定 ・安定した手ブレ防止機材の使用 ・自然光を活かした印象的な映像表現
機材選定	・4K以上の高解像度カメラ ・多様な撮影シーンに対応するレンズ群 ・ドローンによる空撮設備
編集作業	・色調補正による統一感のある仕上がり ・テンポの良いカット割り ・効果的なトランジション効果
最終調整	・視聴環境に配慮した画質設定 ・音声レベルの最適化 ・各配信プラットフォームへの最適化

 

撮影から編集まで一貫した品質管理により、視聴者の心に残る印象的な映像作品を制作できます。

プロフェッショナルな技術と創造性を組み合わせることで、地域の魅力を最大限に引き出す自治体PR動画となるでしょう。

音楽やナレーションを入念に決める

自治体PR動画において、音楽とナレーションは映像の印象を大きく左右する重要な要素です。

地域の雰囲気や伝えたいメッセージに合わせて、BGMのジャンルやテンポを慎重に選定しましょう。

たとえば、伝統的な祭りのシーンには和楽器の楽曲を、若者向けの観光PRには現代的な音楽を使用するなど、場面に応じた曲を選びましょう。

一方ナレーションは、視聴者に親しみやすい声質や話し方とすることが重要です。効果音に関しても、映像の臨場感を高める重要な要素のため、波の音や鳥のさえずり、祭りの掛け声など、自然音や環境音を適切に配置してください。

音楽、ナレーション、効果音のバランスを整えることで、視聴者の心に響く説得力のある作品としましょう。

SNSとの連携を意識してコンテンツを作成する

自治体PR動画の効果を最大化するには、SNSでの拡散を意識したコンテンツ制作が不可欠です。

InstagramやTikTokでは短尺版、YouTubeではフルバージョンを用意するなど、各プラットフォームの特性に合わせた最適化を行いましょう。

動画の冒頭で視聴者の興味を引く映像や、音声オフでも内容が伝わるテロップの活用も効果的です。

また、地域のハッシュタグやご当地キーワードを組み込むことで、検索性を高め、自然な情報拡散を促進できます。

失敗を防ぐ！自治体PR動画制作で気をつけたい課題と対策

自治体PR動画の制作には、様々なリスクや課題が潜んでいます。効果的な動画を制作するためには、企画段階から配信後まで、想定されるリスクを把握し、適切な対策を講じる必要があるでしょう。

ここでは、動画制作プロジェクトを成功に導くための重要なポイントを4つ紹介します。

• 視聴されないリスクについて考える
• 炎上リスクに注意する
• 予算・スケジュール管理を徹底する
• 効果測定と改善を繰り返す

視聴されないリスクについて考える

自治体PR動画が視聴されないリスクを回避するには、戦略的なアプローチが必要です。

最も重要なのは、視聴者目線でのコンテンツ設計です。地域の情報を単に羅列するのではなく、視聴者が求める情報や興味を引く要素を優先的に盛り込みます。

以下の要素を意識することで、視聴されるコンテンツを制作しましょう。

リスク回避のポイント	具体的な対策
冒頭の工夫	・最初の5秒で興味を引く映像を使用する ・インパクトのあるメッセージを配置する ・視聴者の関心に即した展開を意識する
視聴者の特性を把握する	・ターゲット層の視聴習慣分析を行う ・好まれる動画尺を研究する ・効果的な配信時間帯を選定する
情報発信を最適化させる	・適切なサムネイル画像を設定する ・魅力的なタイトル付けを行う ・効果的なキーワードを活用する

 

視聴者の興味を引き付け、最後まで見てもらえる動画作りが、PR効果を高める鍵となります。

炎上リスクに注意する

自治体PR動画の制作では、炎上リスクへの細心の注意が必要です。

地域の特色を強調しすぎるあまり、特定の価値観を押し付けたり、他地域との不適切な比較を行ったりすることは避けなければなりません。

• 個人情報の不適切な取り扱い
• 撮影許可・肖像権の未取得
• 特定の価値観の押し付け
• 他地域との不適切な比較
• 過度な誇張表現
• 特定の団体や個人への配慮不足
• 地域住民への事前説明不足
• 公平性を欠く表現
• 事実確認の不備

これらのリスクを回避するため、制作段階から配信後まで、複数人による内容確認と法務部門との連携が重要です。

地域の魅力を伝えながらも、公平性と正確性を保った表現を心がけましょう。

予算・スケジュール管理を徹底する

自治体PR動画の制作では、予算とスケジュールの綿密な管理が求められます。計画段階での詳細な見積もりと、進行中の柔軟な調整が重要です。

管理項目	具体的な内容
予算管理	・撮影機材費 ・交通・宿泊費 ・人件費 ・素材使用料 ・編集費用
スケジュール管理	・撮影日程の調整 ・許認可手続き ・関係者との打ち合わせ ・編集期間の確保 ・最終確認時間

 

これらの要素を適切に管理することで、質の高い動画を予定通りに完成させることができます。

適切に管理を行うことで、予算超過やスケジュール遅延のリスクを最小限に抑え、効率的な制作進行を実現できるでしょう。

効果測定と改善を繰り返す

自治体PR動画の効果を最大化するには、定期的な効果測定と改善が不可欠です。視聴データの分析から具体的な改善策を導き出し、次回の制作に活かすサイクルを確立します。

分析項目	測定・改善のポイント
視聴データ	・再生回数と視聴継続率 ・視聴者の属性分析 ・アクセス経路の把握
反応分析	・コメント内容の確認 ・いいね数の推移 ・シェア状況の把握
行動分析	・問い合わせ数の変化 ・サイトへの誘導効果 ・具体的な成果指標

 

このように、データに基づく改善を重ねることで、より効果的な動画制作が可能になります。

予算を有効活用するためのポイント

自治体PR動画の制作では、限られた予算を効果的に活用することが重要です。

予算を最大限に活かすため、以下のポイントを意識しましょう。

• 動画制作会社やプロと連携する
• 複数の資金源を検討する
• 長期的に使えるコンテンツ作りを意識する

動画制作会社やプロと連携する

自治体PR動画の制作では、プロフェッショナルとの連携が予算の効果的な活用につながります。

専門家のノウハウを活用することで、限られた予算で最大限の効果を引き出すことが可能です。

連携のメリット	具体的な内容
技術力の活用	・高品質な映像制作 ・効果的な編集技術 ・最新機材の活用
経験の活用	・効率的な制作進行 ・トラブル対応力 ・的確な予算配分
ネットワークの活用	・専門スタッフの確保 ・撮影場所の調整 ・素材の効率的調達

 

プロの制作会社に依頼することで、企画から完成まで一貫した品質管理が可能になります。

経験豊富なスタッフによる効率的な制作進行を行うため、予算を最大限に活かし魅力的なPR動画を制作できるでしょう。

複数の資金源を検討する

自治体PR動画の制作予算は、様々な資金源を組み合わせることで拡充できます。

地域の魅力を効果的に発信するため、利用可能な助成金や補助金を積極的に活用しましょう。

資金調達の種類	具体的な内容
行政予算	・広報予算の活用 ・観光振興費の利用 ・地方創生関連予算
外部資金	・国の補助金制度 ・民間助成金 ・クラウドファンディング
官民連携	・地元企業との協賛 ・観光協会との共同制作 ・地域団体との連携

各制度の申請時期や要件を把握し、計画的な資金調達を進めましょう。

長期的に使えるコンテンツ作りを意識する

自治体PR動画は、長期的な活用を見据えた制作が予算の有効活用につながります。

一時的な話題やトレンドに頼りすぎず、地域の本質的な魅力を伝えるコンテンツ作りを心がけましょう。

制作の視点	具体的なポイント
汎用性の確保	・季節を問わない映像の活用 ・基本情報の重視 ・多目的利用可能な素材
素材の活用	・短尺版の作成 ・素材の使い回し ・部分的な更新対応
展開の工夫	・SNS向けの再編集 ・イベントでの活用 ・教育現場での利用

映像素材を様々な用途で活用できるよう、撮影時から計画的に準備することが重要です。長期的な視点での制作により、継続的なPR効果を生み出すことができます。

まとめ

地域の魅力を効果的に発信する手段として、動画コンテンツは大きな可能性を秘めています。

視聴者の心に響く印象的な映像表現と、情報発信戦略の組み合わせにより、観光振興や移住促進など、大きな成果につなげられるでしょう。

本記事で紹介した内容も参考に、地域ならではの魅力を最大限に引き出すPR動画の制作に取り組んでみてはいかがでしょうか。