フリーランスや個人事業主にとって経費管理と節税は、本業と同じくらい重要です。なぜなら経費と税は利益にダイレクトに影響してくるからです。フリーランスになったら経費管理のスキルをアップして節税に努めましょう。それにはクラウドサービスが有効です。
【動画あり】フリーランスや個人事業主の経費と節税を考える~経営と確定申告、クラウドも解説
フリーランスや個人事業主、自営業の方々は、経費についてどれほど知っているでしょうか。なぜこのようなことをいうのかというと、僕はフリーランスを経て会社を設立して経営者になったのですが、会社を持つようになってからしみじみと「個人事業主のころは経費についてあまりに無知だった」と思うからです。フリーランスだったころの僕は、経費についてよく知らなかったために多くの損をしてきました。または、多くの得を取りこぼしてしまいました。だから、まさに今フリーランスで頑張っている方々に「今から経費について知っておいたほうがよい」とアドバイスしたいのです。この記事では、フリーランスにとって経費の知識がどれだけ重要で、これが節税につながることを解説します。さらに経費を計上するときの注意点や確定申告、クラウドサービスについても紹介します。
1.フリーランスにとって経費計上が重要になる理由
まずはフリーランスと経費の関係を考えていきます。フリーランスにとって経費とはなんでしょうか。経費とは事業を行うために必要なものでしょうか。投資でしょうか。節税効果を生む「嬉しいもの」でしょうか。お金が消える「悲しいもの」でしょうか。――このように考えていくと、経費は意外にとらえにくいものなのです。
フリーランスとは
ちなみにフリーランスと個人事業主はほとんど同じ意味です。自営業者と呼ぶこともあります。僕はフリーランスという言葉が好きです。なぜならフリーランスという言葉には、「個々の専門スキルを活かし企業やクライアントと直接契約を結んで業務を行う人」というイメージがあるからです。個人事業主や自営業者という言葉は税務用語というか、法律用語のような感じがします。さて、僕はフリーランスと経費の関係を次のようにとらえています。
■フリーランスにとっての経費とは
- フリーランスは自分自身で事業運営のすべてを行うため、正確な経費計上はその成功において非常に重要な要素になりうる
フリーランスはすべてを1人でこなさなければなりません。そしてフリーランスの事業運営には、企業と同じように本業だけでなく人事も総務も労務も経理も税務も含まれ、それらもすべて1人でこなさなければなりません。そして利益をあげるには売り上げを増やしたり支出を減らしたりしなければならず、そこに経費が深く関わってくるのです。つまり経費計上は、フリーランスの利益にダイレクトに関わる重要な仕事、といえます。
経費計上の重要性
経費計上は、フリーランスの事業運営において2つの重要な役割を果たします。
第1の役割は、経費計上によって所得税の額を正しく算出できることです。つまり、経費を適切に計上することで、必要以上の税金を支払う必要がなくなり、なおかつ国民の義務である税金の納付を確実に実行できるのです。実は適切な額の税金を納めることこそが、節税なのです。経費は節税効果を生みます。
第2の役割は、経費が、フリーランスの事業の健全性を評価するための基準となることです。経費を把握してそれを適切に管理することで、フリーランスは自身の事業の収支状況を把握できるようなり、ひいては将来の事業計画づくりに役立ちます。
正確な経費計上のために
フリーランスが正確な経費計上を行うためには、まず自分がどのような経費を発生させているのかを把握する必要があります。これには、仕事で使う電子機器やソフトウェアの費用、通信費、オフィス経費、教育費、ミーティングのための食事代金などが含まれます。これらの経費を1つひとつ把握して、適切に記録することが求められます。
次に、経費を計上するときは、必ず領収書や契約書などの証明書類を保管しておくことが求められます。これらの書類は、経費が事業に関連するものであることを証明するためのもので、税務署から問い合わせがあったときや、税務調査があった際などに必要になります。
そして領収書や契約書がない経費は経費と認められなくなる可能性があります。経費は節税効果を生むので、したがって領収書がなく経費と認められなかった場合、節税効果が失われることを意味します。
経費計上のツールを活用する
経費の詳細な記録と管理は非常に重要ですが、フリーランスがこれらをすべて手作業で行うのは困難であり、時間も手間もかかります。そこで役立つのが経費計上のコンピュータ・ツールです。マネーフォワードなどのクラウド会計ソフトウェアを利用すると、領収書のスキャンや経費の自動計上、確定申告書の作成など、経理作業を簡単かつ効率的に、そして正確に行うことができます。
なおクラウド会計ソフトウェアはこの記事のメインテーマの1つなので、あとで詳しく解説します。
経費計上のスキルを磨く
フリーランスは経費計上の仕事を単なるルーティンワークにしないようにしましょう。なぜなら経費計上を極めると、自身の事業運営スキルを高めることができるからです。もしフリーランスの方が法人成り(会社の設立)を目指していたら、経費計上スキルはその重要なステップになるはずです。
そのため、経費管理の方法や節税のテクニックについて学び続け、経費計上のスキルを磨くことが大切になります。そしてフリーランスが事業を持続的に運営するためにも経費の正確な計上は欠かせず、これはビジネスを成功へと導く鍵の1つになります。
2.経費とは何か~基本的なことを知る
経費とは何か――。その答えは簡単でもあり、難しいこともあります。簡単な答えは、使ったお金、となります。ビジネスでは何かをするとき、必ず何かを買わなければなりません。そのときに発生するお金を経費と呼ぶことは誰でも知っていることです。しかし、フリーランスの事業や利益における経費、ということを考えると、これはなかなか複雑な概念になります。
経費の定義
経費とは、フリーランスが事業を行ううえで必要になる出費のことです。経費は事業活動を支えるためのものであり、個人の生活費や趣味に関連する出費は含まれません。
経費の種類は多岐にわたりますが、フリーランスの場合、以下のような項目が該当するでしょう。
■フリーランスの経費になりそうなもの
- 仕事用のIT機器やソフトウェア
コンピュータや専門的なツール、ソフトウェアの購入費用やリース費用は、事業運営に直接関連しているため経費として計上できる
- 交通費
クライアントとの打ち合わせや業務に関連する移動にかかる費用も経費に含まれる
- 通信費
インターネットやスマホなどの利用料金はビジネスにおけるコミュニケーション手段として経費として計上可
- オフィス経費
オフィスの家賃や光熱費は経費にできる。なお在宅ワークの場合は、自宅の家賃や光熱費の一部を経費として計上できることもある
- 教育費
スキルアップのためのセミナー参加費や書籍の購入費も経費計上できる
自信もって経費にしてよい
上記で「フリーランスの経費になりそうなもの」と紹介しましたが、これを「フリーランスの経費」と断言しなかったのは理由があります。それは、何が経費になって何が経費にならないかは、曖昧な部分があるからです。例えば、在宅ワークの場合は自宅の家賃や光熱費の一部が経費になる、と紹介しましたが、自宅で仕事をする期間が極端に短かったらそれを経費にすることは難しいでしょう。では自宅で何日仕事をしたら家賃などを経費として計上してよいのか。その答えは、税務署も税理士も持ってなく、ケースバイケースで判断されます。また、書籍の購入費は大抵の場合は経費になるわけですが、もちろん例外があります。では、経済誌とマンガ雑誌は経費に計上できるでしょうか。経済誌は経費計上でき、マンガ雑誌は経費計上できない、と思うでしょうか。実は一概にそうとはいえないのです。例えば、趣味で株式投資をしていて、その資料のために経済誌を購入したら、それはあくまで趣味の費用なので経費に計上できません。逆に、フリーランスがマンガについて評論する仕事を得て、その資料のためにマンガ雑誌を購入したらそれは経費になります。経費になる・ならないは、最終的には税務署が決めますが、しかしフリーランス自身が、自信を持って「これは仕事に関する出費だ」と判断できたら経費に計上したほうがよいのです。ただし、いくらフリーランスが「これは経費だ」と主張しても、税務署が認めないことがあります。経費になるかどうか不安になったら、税理士に相談してもいいですし、税務署に直接問い合わせてもよいでしょう
経費の記録と管理
経費を計上するには、その出費が事業に直接関連していることを証明する書類が必要になります。領収書や契約書などが証明書類になります。これらの書類は、確定申告のときに税務署に提出することもあるので適切に保存・管理してください。また、何に対する出費であるか、いつ支払ったかといった経費の詳細も記録しておいてください。経費の詳細の記録があると確定申告がスムーズに行え、経費の節税効果を最大限に活用することができます。これらの事務作業を「大変」と感じたら、コンピュータ・システムの経費管理ツールやクラウド会計ソフトを使ってください。コンピュータを使えば経費計上を確実に実行できますし、経費管理ツールやクラウド会計ソフトの利用料は経費計上できます。
経費計上の注意点
出費を経費に計上するときの注意点を紹介します。個人的な出費を事業の経費として計上することは法律違反となり、重大なトラブルを招く可能性があるので、決して行わないでください。また、経費を計上するための書類がない場合や、経費の詳細を記録していない場合も、経費として認められないことがあります。さらに詳しい注意は、後段の「5.経費計上の注意点」の章で紹介します。
経費管理ツールの活用
僕は経費の記録と管理を助けるために、フリーランスの方々に経費管理ツールをおすすめします。クラウドサービスによる経費管理ツールなら、領収書のデジタル化も経費の詳細の記録も簡単に行えます。これにより、経理作業の効率化を図れ、確定申告もスムーズに進むでしょう。
経費についてのまとめ
ここまで説明が長くなってしまったので、要点を箇条書きでまとめます。
- 経費とは事業運営に必要な出費
- 経費を正しく理解し、適切に計上することがフリーランスの経営において重要
- 領収書の管理や経費詳細の記録など適切な経費管理を行うことで節税でき、経営を健全化できる
- 経費管理ツールを活用することで、経理作業を簡単かつ効率的に行うことが可能になる
- 個人使用と事業使用は明確に線引きを
3.経営と経費~フリーランスの成功に必要な視点
独立してフリーランスになると、自身のビジネスを自身で運営していかなければなりません。そのとき経営と経費の関係を正しく理解することが重要です。経費は単なる費用として考えるのではなく、ビジネスの成果を最大化するための戦略の要素としてとらえるべきです。
経営と経費は密接に結びついています。経費の使い方を適切に計画し、ビジネスのお金を効果的に活用することが経営では欠かせません。経費は事業の運営や成長に直結しており、的確な経費の計上によって業績を向上させることができます。
経営と経費の関係
フリーランスと企業経営者はとても似ています。経営者はヒト・モノ・カネを使って事業を行う人であり、フリーランスも同じです。ただし、経営者にとってのヒトは従業員で、フリーランスにとってのヒトは自分自身です。フリーランス=経営者は、次に紹介することを考慮しながら経費の計画と管理を行ってください。
- 収益目標の設定
経営目標を明確にし、収益目標を設定します。経費はこの収益目標を達成するための手段であり、効果的に経費を使いわけることで収益の最大化を図ることができます。
- プロジェクトごとの予算管理
プロジェクトごとに予算を設定し、経費の計画と管理を行います。予算を守りながらプロジェクトを進めることで、経費の透明性とコントロールを保つことができます。
- 経費の分析と改善
経費を計上したら、そのあとに分析と改善を行うようにしてください。経費全体のなかで大きな割合を占める経費や効果の薄い経費を特定し、削減や見直しを行うことで無駄な出費を抑えることができます。
- 投資としての経費
経費には投資としての側面もあります。経費を事業の成長や効率化に直結する投資ととらえ、将来の収益につながるよう計画的に経費計上することが求められます。
- ビジネスの変化に対応を
フリーランスは自身の経営を、変化し続けるビジネス環境に適合させていかなければなりません。ビジネスの成長や市場の変化に応じて、経費の見直しや再配分を行い、経営戦略に合わせた経費計画を策定します。
フリーランスは企業の経営者と同じ経営者目線を持ち、経費の計画と管理を通じて事業の成果を最大化していくことが求められます。経費の適切な使い方を理解し、戦略的な経費計上を行うことで、フリーランスとしての成功につながります。
4.経費計上のメリット~節税効果とその方法
なぜフリーランスは経費について深く考え、経費計上を慎重かつ大胆かつ確実に行わなければならないのでしょうか。それは経費計上がフリーランスにメリットをもたらすからです。フリーランスは、自分のために経費計上しましょう。そして経費計上の最も大きなメリットとは節税効果です。
どのように節税効果が生まれるのか
フリーランスが経費を適切に計上すると節税効果を生みます。このことを知らないフリーランスはまずいないでしょう。では節税効果とはなんなか。この質問に即答できるフリーランスはそう多くないのではないでしょうか。経費計上を適切に実施すると、所得税額を正しく計算できるようになります。経費とは事業に必要な出費のことであり、これを正しく計上することで事業所得が算出されます。事業所得とは収入から経費を引いた金額であり、所得税はこの事業所得に対して課せられます。したがって経費を適切に計上することで、実際の所得に見合った税額を支払うことができます。節税とは正しい額の税金を納付することにほかなりません。
もう1つのメリット
適切に経費計上を行うことにはもう1つメリットがあり、それは自身の事業運営を的確に把握できるようになり、ビジネスを改善するきっかけになる、というもの。経費を計上するとその内訳を理解できるようになるので、どの部分に多くの費用がかかっているのかや、どこを改善すれば効率的な運営が可能になるか、といったことを知ることができます。
節税効果を確実に生み出す方法
具体的に経費計上による節税効果をどのように生み出すのか、解説します。フリーランスとして稼いだ収入から必要な経費を引いた金額が課税対象となります。したがって、事業に関連する経費をしっかりと計上し、課税対象となる金額を適切に抑える必要があります。また、経費として計上できる項目は多岐にわたることを覚えておいてください。例えば、パソコンやプリンターなどの仕事に必要な機器、交通費、広告費、接待費など、これらの経費をすべて計上することで、所得税の負担を軽減することができます。さらにクラウドサービスで提供される会計ソフトウェアの活用をおすすめします。これだけITとインターネット環境が発展した今、もう普通の会計ソフトウェアではなく、クラウド会計ソフトウェアを使ったほうがよいでしょう。僕は、経費を計上する際の手間を減らすためにはクラウド会計ソフトウェアが一番である、と言い切ることができます。クラウド会計ソフトウェアのなかでは、例えばマネーフォワードなら、領収書をスキャンすれば自動でデータ化されますし、経費計上やレポート作成も簡単に行えます。これにより経理作業の時間を大幅に短縮できるので、本業に集中できます。フリーランスにとって経費計上や経理作業も本業も同じくらい重要ですが、時間をかけたいのは本業のはずです。経費計上は、フリーランスの経済状況を正確に把握し、税金を適正に納めるために重要な作業です。経費計上の知識とその方法を理解し、日々の経理作業に生かしていくことが欠かせません。
5.経費計上の注意点
経費計上を行うときの注意点をさらに詳しく紹介します。
経費の種類と計上基準
フリーランスが最初に押さえておくべきことは、どのようなものが経費として認められるか、です。経費として認められるものは、事業を行ううえで必要な出費です。例えば、オフィス家具やオフィス用品、交通費、外注費、広告費などがそれに当たります。しかし、個人の生活費や趣味に関わる出費は原則として経費にはなりません。計上する経費が業務に直結しているかどうかを常に意識し、それを示す証拠を適切に保管しておくようにしましょう。領収書は有力な証拠になります。経費を計上するときは、領収書や契約書などの証拠を元に、その金額を正確に記録することが求められます。また、領収書には必ず日付、支払い先、支払った内容が記載されていることを確認しましょう。これらの情報がないと、税務調査のときに経費として認められない可能性があります。そしてデジタル時代の現代では、クレジットカード明細や電子領収書も重要な証拠になります。こうしたデータを必要に応じてPDFにして保存しておくと安心です。
経費計上のミスとその対策
経費計上においてはミスが許されません。間違った経費計上は、誤った税金の申告につながり、税務調査で問題となる可能性があるからです。例えば個人的な出費を事業の経費として計上してしまうと、それは虚偽申告とみなされる可能性があります。また、領収書のない経費を計上するのもリスクが高いでしょう。こうしたミスを防ぐには、経費と私的な出費をきちんとわけ、経費計上する領収書を必ず保管しておくことが欠かせません。また経費計上のルールが複雑な場合は、税理士などの専門家の助言を仰ぐことも有益です。経費の計上には正確性と妥当性が求められます。経費は事業に直接関係のあるものでなければならず、業務の進行や収益を支えるものでなければなりません。適切な根拠や説明ができるように、計上する経費に対して事前に検討しておきましょう。経費計上では定期的な確認とレビューも必要です。経費の変更や更新があった場合には、適切に修正することを忘れないでください。さらに、税務法や経費計上のルールについて常に最新の情報を収集し、変更や改正があった場合には適切に対応します。経費計上の際には慎重さと正確さが求められます。ミスを防ぐために、適切な証拠を収集し、経費の妥当性を確認することを心がけましょう。経費計上を適切に行うことで、節税効果を最大限に活かし、ビジネスの成果を最大化することができます。
6.領収書の管理~クラウドサービスを使った簡単な方法
領収書の管理には、クラウドサービスで提供される経費管理ツールや会計ソフトウェアの利用がおすすめです。ここではクラウド会計ソフトウェアについて解説していきます。
クラウド会計ソフトウェアでの書類管理
経費計上に関する事務処理で書類の管理が重要になるのは、領収書やレシートが膨大になるからです。この領収書の管理は多くのフリーランスの頭痛の種になっているはずです。クラウド会計ソフトウェアは、そのような悩みを一気に解決するでしょう。マネーフォワードなどのクラウド会計ソフトウェアを使えば、領収書やレシートをスキャンしてデータ化しクラウド上で一元管理できます。これにより領収書を紛失するリスクが軽減され、確定申告の手間を大きく減らします。確定申告はフリーランスの義務であり、適切に行うことで税金の支払いの過不足を防ぎ、事業運営をスムーズにします。そのためには1年間の収入と経費を正確に計算し、必要な書類をそろえることが必要で、それにはクラウド会計ソフトウェアが欠かせません。領収書は税務調査のときにも必要になるため、適切な保管が重要になります。経費計上や確定申告の作業を効率化するためにも、僕はクラウド会計ソフトウェアの活用をおすすめします。
領収書の重要性
フリーランスにとって、領収書は非常に重要な存在です。なぜなら経費計上にも、所得税額の適切な計算にも必要になる証明書類だからです。さらに領収書は税務調査があった場合にも必要になります。つまり、領収書はフリーランスのビジネスを適切に運営するための基盤である、といっても過言ではありません。ただし、フリーランスが保管すべき領収書は、事業に関する出費=経費に関するものだけです。いうまでもありませんが、私的な出費の領収書や他人から譲り受けた領収書をわざと「経費の領収書の束」のなかにもぐりこませ、所得税の額を小さくすることは脱税になります。
領収書の管理について
領収書の管理は簡単な仕事ではありません。自分ですべてを管理するフリーランスにとっては、領収書の管理は大変な作業になるでしょう。とにかく時間と労力を多く消費します。そこで、領収書の管理を簡単にするための方法として、デジタル・ツールやインターネット・ツール、クラウドサービス・ツールのフル活用をおすすめします。クラウド会計ソフトウェアだけでなく、キャッシュレス支払いも領収書管理業務の軽減化につながるでしょう。さらにシステムやツールを連携・統合させることも、領収書関連業務の効率化に有効です。
クラウドサービスによる領収書管理のメリット
クラウドサービスによる領収書管理の最大のメリットは、その簡単さと便利さにあります。現金払いの領収書はスキャンしてクラウド上にアップロードすることで、いつでもどこでも領収書データにアクセスできます。これにより領収書の紛失リスクが軽減され、確定申告の準備の手間が大幅に減ります。僕は、スキャンすることすら面倒に感じるので、基本的に事業に関する支払いはクレジットカードや電子マネー、QRコード決済を使っています。
マネーフォワードの活用
先ほどから「マネーフォワード」を特に強調して紹介しているわけですが、僕の会社でも使っているからです。少し私的な話をします。会社を経営することになってマネーフォワードを使うようになって、僕はつくづく「フリーランス時代にこれがあったらなあ」と感じるのです。僕はフリーランスを経て会社を設立したわけですが、僕のフリーランス時代にはマネーフォワードのような超絶便利なクラウド会計ソフトウェアは存在しませんでした。そのためフリーランス時代の僕は常に経理業務や経費計上業務や領収書管理業務に追われていたのです。だから僕はフリーランスのみなさんにこういいたい。「マネーフォワードなどのクラウド会計ソフトウェアはフリーランスの武器になる」と。マネーフォワードについていえば、領収書のデータ化と管理を可能にするだけでなく、確定申告の助けにもなります。スキャンした領収書の画像をアップロードするだけで、領収書のデータが自動で取り込まれ分類されるからです。また、マネーフォワードでは領収書のデータ化だけでなく、経費の計上や収支の確認など、会計に関するさまざまな作業を一元管理することが可能です。なおマネーフォワードについては後段の「7.経費関連のソフトウェアェア~マネーフォワードのおすすめポイント」の章でさらに詳しく解説します。
クラウドサービスを活用した領収書管理についてのまとめ
この章も長くなってしまったので、要点を箇条書きでまとめます。
- 領収書の管理はフリーランスにとって非常に重要な作業である
- それは、確定申告に必要なデータをそろえ所得税の計算を正確に行うために必要だからである
- 領収書の管理作業は煩雑で時間を取られるため、その負担を軽減するためにクラウド会計ソフトウェアは有効
- クラウド会計ソフトウェアを使って領収書管理業務の時間を減らせば、お客様を喜ばせる方法を考えることができる
- マネーフォワードなどのクラウド会計ソフトウェアは、領収書のスキャンとアップロードだけでデータの自動取り込みや分類が可能
- これにより紙の領収書を1枚1枚手作業で管理する必要がなくなる
- クラウド会計ソフトウェアは領収書管理だけでなく、収支の確認や経費の計上など一元的な会計処理が可能になる
こうした取り組みによって、フリーランスは経営に集中する時間を増やすことができます。経費計上と税金計算の正確性を保つためにも、ぜひともこの新しい方法を試していただきたいと思います。
7.経費関連のソフトウェア~マネーフォワードのおすすめポイント
マネーフォワードの有用性についてさらに詳しくみていきましょう。
マネーフォワードとは
マネーフォワードは、株式会社マネーフォワード(本社・東京都港区)が開発・販売・運営しているクラウド会計ソフトウェアで、フリーランスや中小企業の利用を想定しています。マネーフォワードは会計、経費管理、給与計算、請求書発行などの機能を備えており、これを使うことで日々の経理作業を効率化し、ビジネスをスムーズに進めることができます。フリーランスは自分でマネーフォワードを操作して経理業務、費用計上業務、領収書管理業務を行うわけですが、それがとても簡単なので、まるで経理担当者を雇ったようなものです。
経理作業の自動化と効率化
マネーフォワードは銀行口座やクレジットカードと連携させることができます。これにより入出金データを自動で取得することができるようになります。これこそ経理作業の自動化です。経理作業を自動化できると手間が減るだけでなく、データ入力のミスも減ります
確定申告のサポート
マネーフォワードは確定申告のサポート機能も提供しています。経費や収入のデータが一元管理されているため、確定申告に必要な書類を簡単に作成できます。フリーランスの多くが、その事務作業量の多さから「確定申告は大変な仕事」と感じていると思いますが、しかしマネーフォワードを使えば事務作業が大幅に減るので「確定申告は簡単な仕事」になるでしょう。これは大袈裟にいっているのではなく、僕の実感です。
ほかの経費関連ソフトウェア
マネーフォワードのほかにも、フリーランスにとって便利な経費関連ソフトウェアは数多く存在します。例えばfreeeはクラウド会計ソフトウェアのなかでも人気のクラウドサービスです。使いやすさと機能性のバランスが評価されています。経理初心者でも扱いやすいインターフェースと、豊富な機能が魅力です。またfreeeにもマネーフォワードと同じ銀行口座やクレジットカードと連携させる機能が備わっています。さらに領収書のデジタル化、確定申告の支援など、ビジネスを円滑に進めるための機能も提供しています。
Zoho Booksは、フリーランスや中小企業向けのオンライン会計ソフトウェアで、請求書の発行、収支管理、税金の計算など一連の経理作業を網羅しています。特に請求書作成機能は多機能であり、自動的に請求書を作成し送付することができます。
Slackは一般的にコミュニケーション・ツールとして使用されていますが、経費精算ツールと組み合わせることで経費の申請や承認のフローを効率化できます。さらにExpensifyとSlackを連携されると、経費の申請から承認、経理へのデータの反映までを自動化することができます。
フリーランスがこれらのクラウドサービス・ソフトウェアを使えば、自身の経営に集中する時間を増やすことができます。自身のビジネススタイルや経理作業の量、予算などに合わせて、最適なソフトウェアを選び活用することをおすすめします。
8.フリーランスの確定申告~必要な手続きと書類
確定申告について解説します。フリーランスのミッションには、事業の成功に加えて、適正な額の税金を支払うことも含まれています。確定申告は税金の納付を確実にする作業なので、とても重要です。
確定申告とは何か
確定申告とは何か。1年間の収入と支出を税務署に報告し、それに基づいて正しい税金を計算し納付するための手続きです。この確定申告を通じて、事業の利益に対する所得税と住民税が計算され、税金の納付を確実にします。
必要な手続き
確定申告は毎年2月16日から3月15日までの期間に行われます。申告には主に4つのステップがあります。
- 収入の計算
まずは1年間の収入を計算します。売上、収入、報酬など、すべての入金を加算します。
- 経費の計上
次に経費を計算します。経費とは事業運営に必要な費用のことで、備品や道具の購入費、交通費、広告費、通信費などが含まれます。
- 事業所得を算出
収入から経費を差し引くことで事業所得を算出します。
- 税額の計算
事業所得に税率をかけて税額を計算します。税率は事業所得の額によって異なります。
- 確定申告書の提出
計算した税額を記入した確定申告書などを税務署に提出します。確定申告書などの書類は持参するだけでなく、郵送または電子申告で提出することもできます。
必要な書類
確定申告に必要な書類は以下のとおりです。
- 確定申告書:収入と経費を記入する主要な書類
- 給与所得者の保険料控除申告書:健康保険や厚生年金の保険料を控除するための書類
- 青色申告決算書:青色申告を選択した場合に提出。収入と経費の詳細を記入する
- 領収書やレシートなど:経費として計上する費用の証明書類として
領収書やレシートは確定申告のときだけでなく、税務調査があった場合も必要となるため確実に保管しておく必要があります。
9.経費管理の新着情報~バックオフィスの自動化と節税
バックオフィスとは企業の間接部門のことで、総務部、人事部、経理部、法務部などの総称です。フリーランスもビジネスをしている点では企業と同じなので、したがってフリーランスにもバックオフィス機能が必要になります。フリーランスを1人企業と考えると、ビジネスを実行する直接部門とバックオフィスを抱える間接部門を兼任している状態にあります。フリーランスは、自分で自分の総務を行い、自分で自分の人事を行い、自分で自分のビジネスの経理を行い、自分で自分のビジネスの法務を行わなければならないのです。しかしバックオフィス業務に時間と手間を取られては、フリーランスは自身のビジネスに注力できません。そのため僕は、すべてのフリーランスは、バックオフィス業務を極力効率化する必要がある、と考えています。フリーランスこそ、バックオフィスを自動化しましょう。そしてこれも節税につながります。経費管理に次々テクノロジーが導入され新たなトレンドが形成されています。そのトレンドのなかで、バックオフィスの自動化と節税に注目が集まっています。経費管理の最新動向を紹介します。
バックオフィスの自動化の効果
バックオフィスの自動化は、経費管理における重要なトピックの1つです。クラウドサービスを使った経費管理ツールやアプリケーションを活用することで、経費計上や領収書の管理が効率化されます。例えば、経費のデータ入力や集計が自動化されることで、手作業によるヒューマンエラーや時間の浪費を軽減することができます。また、経費データをリアルタイムで把握できたり、そのデータを可視化したり、さらに分析も可能になりました。経費管理ツールを使えば、経費の把握や管理が格段に容易になります。さらに、自動化によって経費計上の正確性と一貫性が向上します。ルールとポリシーに基づいた経費計上ができているか自動でチェックできますし、承認フロー機能を使うとルール違反や不正経費のリスクを減らすことができます。バックオフィスの自動化は、経費管理における生産性と効率性を向上させるだけでなく、経費の透明性とコンプライアンスも高めます。フリーランスのバックオフィス業務は、1つ上のレベルに到達するはずです。
節税の最新情報と戦略
節税はすべてのフリーランスの重要課題になるはずです。なぜなら必要以上に税金を納付することは利益をダイレクトに押し下げるからです。したがってフリーランスは、常に最新の税法改正や節税戦略についての情報をキャッチアップしていかなければならないでしょう。
例えば、特別控除や償却費などの税制上の優遇措置を最大限に活用することで、経費を節税のための費用として計上することができます。また、青色申告特別控除や中小企業共済などの特典制度も確認して、必要であれば積極的に活用して節税効果を最大化していきましょう。
11.よくある質問とその回答
フリーランスの方々が疑問に感じる経費に関することについて、僕の知見から回答します。
Q1.経費はどのように計上すればよいですか?
経費を計上するためには、以下の手順を踏む必要があります。
- 領収書や請求書を収集し金額と内容を確認します
- 経費を適切な項目に分類します(一般的な項目には、交通費、広告費、外注費などがあります)
- 経費の金額と内容を経費計上の帳票や経費管理ソフトウェアに入力します
僕は、現代のフリーランスにとって経費管理ソフトウェアやクラウド会計ソフトウェアは、ビジネスを始める前提であると考えています。
Q2.個人的な出費も経費に計上できますか?
経費は事業に直接関係するものしか計上できません。個人的な出費は経費に計上してはいけません。しかし、事業と個人の境界が曖昧な場合や一部の特例がある場合もあります。具体的なケースについては、税理士など専門家に相談することをおすすめします。
Q3.経費の領収書はどれくらい保存すればよいですか?
経費の領収書は原則5年間保存することが求められます。しかし、税務署が経費についての裁定を下すまでの期間は7年間なので、それまで保存することが推奨されています。領収書は紙媒体やデジタルデータの形式で保存し、必要なときにアクセスできる状態にしておきましょう。
Q4.経費の計上には専門家のサポートは必要ですか?
経費計上のやり方は、個別の事情や法律の変更などによって変わります。そのため税理士や会計士などの専門家の知識やサポートを受けることは非常に有益です。専門家は最新の税法や節税対策に詳しく、正確な経費計上や確定申告の支援をしてくれます。
まとめに代えて~経費管理を強くするためのステップを覚えておいて
経費管理はフリーランスにとって重要なスキルの1つです。効果的な経費管理を行うことで、ビジネスの収益性や持続可能性を向上させることができるからです。それでこの記事の締めくくりとして、経費管理を強化するためのステップを紹介します。
ステップ1:経費計画を策定する
経費計画づくりは、経費を予測して予算を立てるための重要なステップです。過去のデータや将来の目標を考慮しながら、経費の優先順位と予算配分を決定しましょう。経費計画を立てることで無駄な出費を抑え、効果的な経費管理を実現できます。
ステップ2:経費を正確に記録する
経費の正確な記録は重要です。領収書や請求書、契約書などの証拠をしっかりと保管しましょう。経費管理ツールやクラウド会計ソフトを活用することで、データの整理と保管がスムーズになります。記録の正確性と一貫性を保つことで、確定申告時や税務調査時に問題を回避できます。
ステップ3:経費を分析し経費計画を改善する
定期的に経費を分析し、経費計画を改善していきましょう。どの項目に多くの経費がかかっているのか、効果の薄い経費はないか、といった視点で探り、必要な見直しや削減策を実施するのです。また、経費のトレンドやパターンを分析することで、将来の予測や戦略立案に役立てることができます。
ステップ4:税務と法的規制を把握する
経費管理においては、税務と法的規制を遵守することが重要です。最新の税法改正や節税対策についての情報をキャッチアップし、適切な経費計上を行い、確実に確定申告を行いましょう。税理士など専門家のアドバイスを受けることで、法的なリスクを回避しながら経費管理を行うことができます。このようにたった4つのステップで経費管理業務を確実に遂行することができます。経費管理を強化するためには、計画性、正確性、分析力、そしてコンプライアンスが重要です。継続的な改善と学習を通じて、経費管理のスキルを高めていくことができます。フリーランスとしての成功には、効果的な経費管理が欠かせません。